- 2009-08-15 (土) 11:14
- IGLU kanazawa
2009年1月から運営上の理由で閉館中の谷村美術館が、この夏に限定公開されることを知り、実家へ帰る途中で新潟県の糸魚川に立ち寄る。細部まで手の行き届いた回廊の先にある、大胆なフォルムの建物は、晩年の村野藤吾らしい、地面から生え出た生き物のようなたたずまい。そして、岩窟のような内部はゆるやかに区切られ、シルクロードで巡礼の旅をするように、それぞれの場所に1体ずつ仏像が展示されている。
入口で建築を見に来たと伝えると、特別に照明を落としてくれて自然光の空間を体験できたのだけど、真夏の日差しは強すぎたよう・・・。もっと薄暗かった方が光と影の雰囲気が出てくるんだろうな。かつては、太陽の角度に合わせて移り変わる空間を体験するため、1日この場所で過ごす人もいたのだそう。ただ、26年の経年変化は、確実に建築の凄みを増していたし、美術館のおじさんにも建築当時からのいろんな話を聞かせてもらった。運が良ければ庭に飛んでくるという、糸魚川のトキには会えなかったけど、見に来たかいは充分にあった。
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Comments:2
- ono 09-08-19 (水) 11:16
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たかくん、こんにちは。近所の小野です。
最近、晩年の村野作品を見る機会が何度かありました。有機的な「壁の建築」を見るとき、同時にいつも思い返すのが、もう10年以上前に見た谷村美術館のこと。
年月が記憶のなかのディテールをそぎ落としているのに、空間の印象がつよく残っています。
人の心に直に触れてくるイメージ力を、持っているんでしょうね。
晩年の村野の作品がもつ質を、きちんと共有したいですね。 - taka 09-08-19 (水) 23:51
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>ono
コメントありがとうございます。谷村美術館について村野さんが残したテキストの中で、
「戦時中、半分朽ち果てた無人の家屋が自然と一体化している様子を見て感銘を受けた。」
というような言葉がありましたが、まさにそのような風格をもった建築でした。多くの近代建築が存続の危機を迎えている中で、この美術館も例外ではないようですが、
1年のうち数日間だけでも、継続して開館される状況になるといいですね。村野建築、もっと勉強しなくては・・・。
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