- 2009-04-30 (木) 22:41
- IGLU tokyo
集合住宅という住まいのあり方を通して見た、日本人論。幻想的で曖昧になりがちなコミュニティについて警告を発し、極めて冷静な視点から、これまで論じられることの無かった政治性（ガバナンス）をベースにした共同性の価値を提案している。
政治と言うと大げさに聞こえるが、集合住宅の大多数を占める分譲マンションという形式においては、ほぼ例外なく、国においての法律や都道府県においての条例にあたる「管理規約」が制定されている。そこでは、「区分所有者の権利義務」や「権利変動の過程と利害関係人」を明確に定義することで、住人同士の関係を制限する。しかしながら、コミュニティが成熟した故の慣習的な決まりによって他者を排除するようになれば、それもまた制限に違いない。
極論では、コミュニティ＝左側、ガバナンス＝右側とも言えなくもないが、著者が最も危惧しているのは、政治であれ、流行であれ、常に時代の何かに流されがちな日本人の特性なのだろう。意図的に(!?)、ガバナンス寄りに書かれた本書は、コミュニティに偏りがちなこれまでの意識を解きほぐしてくれること間違いない。
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