- 2009-10-08 (木) 20:04
- IGLU tokyo
特定の施主がいる住宅建築であれ、不特定多数の利害関係者がいる公共建築であれ、表面的な言動や条件設定には表れない潜在的要求をいかに察知し、建築に反映させていくか。膨大な情報処理を可能にするウェブもしくはウェブ的思考による建築設計が同時多発的に試みられている今、建築家のあり方も大きな転換期を迎えている。
例えば、これまでの建築は、竣工という結果を到達点とした「登山的」なプロジェクトだったとすると、これからの建築は「ピクニック的」なプロジェクトとなっていくのだろう。その中で建築家は、メンバー全員の意見をまとめて行き先を決定し、その間にオリジナルのレクリエーションを織り交ぜながら、臨機応変にプロジェクトを成功に導いていく。そして、そのプロセスを共有するということが、たとえすべての利害関係が一致しなくとも、結果に対する共通の達成感や納得感につながっていくのだ。
また、「ピクニック的」な建築プロジェクトは、自らゴールを設定しない限り、半永久的に続いていく。もちろん、建築が物理的に存在し始める、竣工というタイミングが重要な通過点にはなるが、それ以後もユーザーがその時点の状況設定をもとに増改築・模様替え等をしていくように、建築家も建築を単につくりあげることでなく、建築を使い続けていくことに対してよりプライオリティを置き、自らも積極的に関わっていく必要があるのではないか。
・・・以上、乱雑ではあるものの、自分なりの視点も加えてシンポジウムを総括してみた。今日の内容は、社会学や政治学、最先端のウェブ論など、いかようにも拡散しうるテーマであったぶん、ひとつひとつの議論を深めていく時間がなかったことは非常に残念。おそらくパネラーの方々も、正しく整理するのには、それなりの時間を要すると思われるが、引き続きそれらを確信犯的に誘導していくであろう、藤村氏の活動には、今後とも注目していきたい。
- 建築夜楽校2009 データ、プロセス、ローカリティ − 設計プロセスから地域のアイデンティティを考える | 日本建築学会
- 建築夜楽校2009を終えて–集合知形成のプロセスにおける建築的思考の可能性 | roundabout journal
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Comments:2
- AN 09-10-09 (金) 10:09
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「ピクニック的」
わかりやすい良い表現ですね。
”ごっこ”でなく
「さぁ ピクニック行こっか!」
とみんなの中から自然と出てくるような感じになると良いですね。
「ピクニック」 大好きです!
- taka 09-10-09 (金) 22:28
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>AN
コメントありがとうございます。ストイックな登山も嫌いじゃないけど、
ピクニックのような一体感にも可能性を感じてます。
どちらにしても、建築家の立ち振る舞いが重要ですね。たとえば、等々力渓谷を抜けて多摩川へ向かうコースだとしたら、
サンドイッチの具にも、隠れたコンセプトがひそんでいるかも・・・。
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